中国語は否定語「不」や「沒」の置く位置によって文章全体の意味が変わってしまうと紹介したことがあるのですが、
今回は一文字で“全部、みんな”を表せる「都」という後の使い方を紹介したいと思います。
さらに「都」+否定語の置き方によって意味が変わってくる、“全部肯定”“部分否定”“全部否定”をまとめ見ていきます。
ぜーんぶ、みーんなのニュアンス
全部、みんなという全体性を表せる「都(ㄉㄡ/dou)」:副詞
自分(話し手)が「まるっと全部感」を出したいときに一文字入れるだけで、使い方は至って簡単です。
全部肯定:主語+都+動詞フレーズ
「都」は副詞なので、いつも動詞フレーズの前に置かれます。
重要なのは、基本的に主語は「複数」であることです。
「〜嗎?」を使用する基本の疑問文で「都」は使えますが、「A不A」の形で使われる反復疑問文では使えません。
・私たちはみんな日本人です:我們都是日本人
・あなたの家族はみんなコーヒーを飲みますか?:你的家人都喝咖啡嗎?
・私は毎日運動をします:我每天都運動
※毎日欠かさずやっているよ、という“毎日感“を話し手は強調している
述語が複数の場合
主語の全体性だけではなく、述語が複数になることもありますよね。
そういう場合は、述語を前方に持ってきて強調する文法を用いてこんな言い方もできます。
述語(強調),主語+都+動詞
・携帯とパソコン、私はどちらも持っています:手機、電腦,我都有
・中国語と英語、彼はどちらも理解できます:中文、英文,他都懂
・李先生、王先生、2人とも好きです:李老師、王老師,我都喜歡
・ここの野菜、全部私が買ったものなの:這些菜、我都買的
述語を前方に持っていかない場合は「都」は使用できないので、代わりに「也」を用いて表現します。
・私は携帯とパソコンを持っています:我有手機也有電腦
全部否定:主語+都+不/沒+動詞フレーズ
主語=全部、ひとつも(都の後ろに続く動詞フレーズを否定して)〜じゃない
・彼らはみんなアメリカ人ではありません:他們都不是美國人
・私たちはどちらも兄がいません:我們都沒有哥哥
・お客さんは全員到着していません:客人都沒到
部分否定:主語+不+都+動詞フレーズ
主語=全部(都以降の文章)というわけではない
・彼ら全員が日本人というわけではない:他們不都是曰本人
・アメリカ人全員が箸を使うわけではない:美國人不都用筷子
文章を噛み砕いて見てみると、「都」以降の文を「不」で否定しているので、否定語の位置が大切なのがわかります。
「絶対みんなこうだ!」と言い張る(?)人に「全員がそういうわけじゃないよ、こういう人もいるよ」のように相手の意見を否定する場合に使われる程度。
有的人“肯定文”、有的人“否定文”:ある人はxxで、ある人は〇〇
この部分否定の代わりになるのは、次のような言い方です。
・ある人はパンを食べる、ある人はパンを食べない:有的人喜歡吃麵包,有的人不喜歡
・ある人は箸を使える、ある人は箸を使えない :有的人會用筷子,有的人不會
この「都」の使い方、意外と簡単ではないでしょうか?
主語には2つ、3つなどの小さい数字だけではなく、
話し手の気持ちに“全部”“毎日毎日”という連続性、トータル感を持たせられる万能プレーヤーです。
例えば、「全員揃ったらご飯食べようね。」なんかも家族全員がテーブルについている様子がなんとなくイメージわくでしょうか?
映画や動画、文章の中でも「都」は結構出てくるのでマスターしたいですね!