中国語と日本語の文法が違うと言われますが、物に対して焦点を当てる文法があります。
“物が動詞の前に来る”という点で日本語と同じ用法と言えます!
動詞の後ろには、今まで習った文法の組み合わせでバリエーションが増えていきます。
慣れるとなんとなく使い方が見えてくる「把」の文法、細かく分けると11通り。
つらつら書きますが、よければお付き合いください…!
「把」を使うときの基本のルール
✔︎物に影響(焦点、強調)を与える文法
・彼はその車を運転して学校まで行った:他把車開到學校去了
・彼は学校まで運転して行った:他開車到學校去了
✔︎対象物(便宜上下記にはObject:Oと表記)はメイン動詞の前に置かれる
✔︎否定語の「不」「沒」「別」は「把」の前
✔︎助動詞(要/喜歡/可以⋯)と副詞(常/可能⋯)も「把」の前
✔︎「把」後ろに置かれる動詞は1文字で終わらない(×送 ◯送一送)
✔︎目に見えない動詞は「把」文法では使えない
(知道/認識/有/在/看見/喜歡/愛⋯)
「把」の文型その1
:主語+「把」+O +動詞+了
・彼はその家を売った:他把房子賣了
・誰が私のお茶を飲んだの?:誰把我的茶喝了?
・私はその薬を飲んだ:我把藥吃了
「把」の文型その2
:主語+「把」+O +動詞+來/去
・私はその本を持ってきた:我把那本書帶來了
・ママは私が必要なものを全部買って来た:媽媽把我需要的東西都買來了
・パパの代わりにその物を届けに行ったよ:我已經替爸爸把東西送去了
「把」の文型その3
:主語+「把」+O +動詞+方向+來/去
・彼がその車を運転して戻って来た:我男朋友把車開回來了
・早くその汚い服を脱いでちょっと洗って:快把髒衣服脫下來洗洗
・生徒たちは先生が言ったことを全部書いた:學生們把老師說的都寫下來了
「把」の文型その4
:主語+「把」+O +動詞+方向+名詞(+來/去)
・お爺ちゃんはその新聞を持って上に上がった:我爺爺把報紙拿上樓去了
・学校に子供を迎えに行って帰らないと:我去學校把孩子接回家來
・彼女が気分悪いみたいで、彼女を送っていくね:她不舒服,我把她送回家去
「把」の文型その5
:主語+「把」+O +動詞+方向
・その荷物置きなよ:你把行李放下吧
・部屋が暑すぎるからその窓を開けた:房子裡太熱了,我把窗戶打開了
・外は寒いから、早く服着なよ:外面很冷,快把衣服穿上
「把」の文型その6
:主語+「把」+O +動詞+在+場所
・車は路肩に止めたよ:我把汽車停在路邊了
・名前と住所をここに記入してください:請你把名字跟地址寫在這裡
・服をベッドの上に置いておかないでね:別把衣服扔在床上
「把」の文型その7
:主語+「把」+O +動詞+到+場所(+來/去)
・そのお椀キッチンまで持っていって:把碗拿到廚房去
・先生が犬を学校に連れて来たらダメだって言った:老師說不可以把狗帶到學校來
「把」の文型その8
:主語+「把」+O(物) +動詞1+給+O(人)(+動詞2)
・彼があの件を私に話して聞かせた:他把那件事說給我聽了
・姉は古い時計を私に売りたいらしい:姐姐想把舊錶賣給我
・お手数なんですが、あのカメラを取って見せてくれませんか:麻煩你把那個照相機拿給我看看
「把」の文型その9
:主語+「把」+O(物) +動詞+O(人)
・電話番号を教えて下さい:請把妳的電話號碼告訴我
・私の成績を他の人に教えないでね:別把我的成績告訴別人
・私は昨日買ったコーヒーのお金を渡したよ:我把昨天買咖啡的錢都給他了
「把」の文型その10
:主語+「把」+O(物) +動詞(+ㄧ)+動詞
相手に何かして欲しい時に使える表現、動詞は1文字のみ使える
・その料理食べてみて:你把菜吃一吃
・その問題をもう1回考えてみるべきじゃないかな:你應該再把這個問題想一想
・先にマンゴーを洗って、それから食べよう:先把芒果洗一洗,再吃
「把」の文型その11
:主語+「把」+O(物) +動詞+回数+量詞
・彼はその話を半分まで話して、喋らなくなった:他把話說一半,就不說了
・さっき話したこと、もう一度言ってください:你再把剛才說的話說一次
いろんなバリエーションを紹介しましたが、とにかく「〜を」ですよね。
全て物に注目しているな、というのが感じられると思います。
台湾人もよく使うこの文法、ひたすら物に対する強調感を意識していると「把」の使いやすさがじわじわわかってくるかもしれません!